お持ちください、お薬手帳①
今年のゴールデンウィークは久しぶりの真夏日となりましたね。
しかし今週は朝晩冷え込みますから、体調の変化にはお気をつけください。
今回は皆さんがお持ちのお薬手帳と歯科診療についてお話しします。
よく、「歯医者さんなのにお薬手帳がいるの?」と患者様から聞かれる事があります。
歯を治療するだけなのに、なぜ飲んでいるお薬の種類が必要なのだろうと思われる方も多いと思います。
実は飲まれているお薬によっては歯科の治療や治療開始時期に影響が出ることがあります。
いろいろな病気やお薬が影響するのですが、今回は「高血圧症のお薬」についてお話しします。
①高血圧症のお薬を服用中
まず高血圧症とは
高血圧症の方が飲まれているお薬は「降圧薬」といいます。
「降圧薬」にはいろいろな種類があり、それぞれ作用の仕方も違いますが、その目的は同じで「血管にかかる圧力を下げる」ことです。
お薬を服用して血圧のコントロールがされていればそこまで大きな問題にはなりませんが、それでも人の身体は痛みやストレスを感じると血圧が高くなります。
「降圧薬」を服用されている方は、一般の方よりももともと血圧が高いですから、身体に影響が出る高さまで血圧が上がってしまう事があります。
歯医者さんで診療台に座った時、麻酔をする時、抜歯の治療を受ける時は緊張しますよね。
これはふだん血圧が高くない方にも起こる「白衣性高血圧」という現象です。
このとき身体はストレスを感じて、血圧をコントロールするホルモンのようなもの(カテコールアミン)がたくさん出て血圧を上げていきます。
高血圧症の方は脳の血管への影響が懸念されます。
脳の血管の内圧が上り、脳出血(高血圧脳症)を起こしてしまうこともありますから高血圧症の方や血圧が高めの方は、ご体調を見ながら診療を行います。
ですので、診療中にご気分が優れないことやいつもと様子が違うことがありましたらすぐに教えてくださいね。
場合によっては血圧を測定しながら診療をすすめることもあります。
また、使用する局所麻酔の種類もお薬の内容によっては変化することがありますから治療の前に飲んでいるお薬をお伝え下さい。
万一のトラブルを避けるため、お薬の情報はとても大切なのです。