前回のブログの最後でも触れましたが、今回はキシリトールについてお話します。

最近テレビCMで『キシリトール』のガムやタブレットについてよく見かけるようになりました。

皆さんはなぜキシリトールが虫歯予防につながるのかご存じですか?

意外と知らないキシリトールについてまとめてみました。

 

■そもそもキシリトールとは?

虫歯予防効果が実証されている天然甘味料です。

白樺や樫の木から採れるキシラン・ヘミセルロースという糖分から作られており、糖アルコールの一種で砂糖と同程度の甘さがあります。

むし歯を予防する天然甘味料として、北欧諸国で多用され、ガムやタブレットなどに使用されています。世界保健機関(WHO)や 国連食糧農業機関(FAO)もその効果を認めています。

日本でも厚生労働省より食品添加物として認可されています。

 

■キシリトールの効果

①無益回路

ミュータンス菌(むし歯菌)はお口の中の糖分を分解して酸を作り出し、これがむし歯のもとになります。

しかしキシリトールはミュータンス菌に分解されず酸産生の原料になりません。

ミュータンス菌はエネルギーを使ってキシリトールを菌体内に取り込みますが利用できないために菌体外に捨てます。そして再びエネルギーを使って取り込むことでエネルギーの無駄使いを繰り返します。

これを無益回路といいます。

この作用によってキシリトールはミュータンス菌の増殖やプラーク(歯垢)の形成を部分的に抑えることが出来るのです。

 

②歯の再石灰化

キシリトールはカルシウムと結合して輸送することにより、歯の再石灰化(★)も促します。

(★歯の再石灰化とは…プラーク中(歯垢)のむし歯原因菌が糖類を分解して作った酸によって、歯の表面にある歯を構成しているカルシウムイオンやミネラル成分が歯から溶け出てしまいます。その溶け出したカルシウムイオンやミネラルを再沈着させる修復現象を歯の再石灰化といいます。)

また、口に入れると味覚が刺激されるため唾液分泌も促進します。

唾液には歯の保護となる唾液タンパク(ペリクル)が含まれていることや急激な酸性やアルカリ性に変化しないよう中和する緩衝作用があります。口腔内細菌の活動を抑える様々な物質(リゾチーム・ペルオキシダーゼ・免疫グロブリン・ラクトフェリンなど)も含まれています。

 

③酸性の中和

ミュータンス菌やプラーク(歯垢)が持っている糖を分解する酵素(シュクラーゼ)の活性を低下させて、酸が出来にくくするだけでなく、アンモニア濃度を上げて酸の中和(口腔内を中性にする)を促進する働きがあります。

 

 

このような特徴によってキシリトールはむし歯予防に有効とされています。

 

 

一日の摂取量を守れば幼児~高齢者まで幅広い年代の方で使用が可能です。

また吸収速度も遅いため血糖値の急上昇がなく、代謝するのにインスリンを必要としないので、糖尿病の人が摂取しても心配ありません。

 

次回はキシリトールの効果的な使い方についてお話します。